お墓参りの基本は、墓所を整え、花や線香を供え、手を合わせて故人やご先祖を偲ぶことです。ただし、お唱えする言葉や線香の供え方など、一部の作法は宗派によって異なります。
この記事では、日本の仏教から天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗の7宗派を取り上げ、お墓参りの流れと覚えておきたいマナーを図解で紹介します。先に結論をお伝えすると、宗派が分からない場合でも、墓石を丁寧に清掃し、合掌して感謝を伝えれば失礼にはあたりません。迷ったときは、菩提寺や墓地管理者の案内を優先しましょう。
この記事の結論
- どの宗派も「清掃・お供え・合掌」が基本
- 違いが出やすいのは、唱える言葉・線香の置き方・数珠の扱い
- 同じ宗派でも派・寺院・地域・家庭によって作法が異なる
- 墓地の火気ルールと菩提寺の案内を最優先する
日本の主な宗派とは?
日本には多くの仏教宗派があり、さらに宗派の中にも複数の派があります。本記事の「主要7宗派」は、お墓参りの違いを比較しやすいように代表的な宗派を編集上まとめたもので、公式な順位や分類ではありません。
| 宗派 | お唱えする言葉・読経の例 | 覚えておきたい点 |
|---|---|---|
| 天台宗 | 菩提寺で教わったお経 | 清掃前に合掌し、水は水鉢へ供える |
| 真言宗 | 南無大師遍照金剛(御宝号) | 数珠を左手にかけて合掌するのが一例 |
| 浄土宗 | 南無阿弥陀仏・お十念 | 清掃前にも合掌・礼拝する |
| 浄土真宗 | 南無阿弥陀仏 | 線香は立てず、横に寝かせるのが基本 |
| 曹洞宗 | 南無釈迦牟尼仏など | 水鉢や花立ても丁寧に清掃する |
| 臨済宗 | 菩提寺で用いるお経 | 派・寺院ごとの案内を優先する |
| 日蓮宗 | 南無妙法蓮華経(御題目) | 数珠を持ち、御題目を唱えて合掌する |
宗派を問わず共通する5つの基本マナー
- 寺院墓地では本堂へお参りする:可能であれば住職へ挨拶し、本堂でご本尊に手を合わせます。
- 墓石と墓所を丁寧に清掃する:柔らかい布やスポンジを使い、落ち葉や雑草も片付けます。
- 花・水・線香などを供える:墓地の規則に従い、火気禁止なら線香やろうそくは使用しません。
- 姿勢を整えて合掌する:数珠があれば手にかけ、故人への感謝や近況を心の中で伝えます。
- 供物とごみを持ち帰る:食べ物や飲み物は置いたままにせず、火の消し忘れも確認します。
宗派ごとのお墓参りの作法
ここからは、各宗派で一般的とされる流れを3ステップで紹介します。図は理解しやすいよう簡略化しています。正式な作法は、所属する派や菩提寺に確認してください。
1. 天台宗のお墓参り

天台宗の公式案内では、お墓参りに特別な作法はなく、仏さまやご先祖への報恩感謝を込めることが大切とされています。墓前で合掌・礼拝してから清掃を始め、清掃後に花や線香、水を供えましょう。菩提寺で教わったお経があれば唱えます。参拝のお供えとしての水は、墓石の上からではなく水鉢に供える方法が案内されています。
2. 真言宗のお墓参り

真言宗では、身なりを整え、手や口を清めてからお参りする姿勢が重んじられます。墓所を清掃して花・水・線香を供え、数珠を左手にかけて合掌します。お唱えする言葉の代表例は「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」です。菩提寺から教わったお経や真言がある場合は、そちらを優先します。
3. 浄土宗のお墓参り

浄土宗では、お墓に着いたらまず合掌・礼拝し、お十念を称えてから清掃する流れが案内されています。清掃後に花・線香・水を供え、再び合掌して「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と称えます。寺院墓地では、墓前だけでなく本堂でもお参りしましょう。
4. 浄土真宗のお墓参り

浄土真宗では、線香を立てず、香炉の大きさに合わせて折り、横に寝かせるのが基本です。ただし、屋外墓地の香炉の形や管理規則によって異なる場合があります。花と線香を供えたら数珠を持って合掌し、「南無阿弥陀仏」と称えてから礼拝します。ご先祖へ願い事をするというより、阿弥陀さまのご恩に感謝し、仏法を聞くご縁としてお参りする考え方を大切にします。
5. 曹洞宗のお墓参り

曹洞宗では、まず墓石と区画を掃除し、水鉢や花立ての汚れも落とします。清水・線香・花、必要に応じて故人の好物などを供え、姿勢を整えて合掌します。お唱えする言葉の例は「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」です。食品は鳥獣や汚れの原因になるため、参拝後に持ち帰りましょう。
6. 臨済宗のお墓参り

臨済宗のお墓参りも、清掃、お供え、合掌という基本の流れは共通です。墓前を整えて花・水・線香を供え、落ち着いて手を合わせます。臨済宗には複数の派があり、公式に一律のお墓参り手順や読経を定めていない場合があります。菩提寺から案内されたお経や作法があれば、その方法を優先しましょう。
7. 日蓮宗のお墓参り

日蓮宗では、墓石を清掃してから花・ろうそく・線香・水、必要に応じて供物を供えます。公式案内には、一人ひとりが墓石に清らかな水をかける作法も示されています。数珠を持って合掌し、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と御題目を唱えます。寺院墓地では最初と帰りに本堂へお参りするのも丁寧です。食べ物の供物は墓前に残さず持ち帰ります。
宗派別のお墓参りでよくある質問
自分の家の宗派が分からない場合はどうすればよいですか?
親族に確認するほか、仏壇の本尊や過去帳、法要を依頼した寺院を手掛かりにできます。分からないままでも、墓所を清掃し、花や水を供えて静かに合掌すれば問題ありません。特定のお経を無理に唱える必要はありません。
夫婦や家族で宗派が異なる場合は?
埋葬されているお墓の菩提寺や管理寺院の作法を基本にします。ただし、家族がそれぞれの信仰に沿って手を合わせることを妨げるものではありません。法要や納骨が関わる場合は、事前に寺院へ相談すると安心です。
線香の本数や置き方は必ず宗派どおりにすべきですか?
本数や置き方は、宗派だけでなく寺院や地域、香炉の形によっても異なります。浄土真宗では横に寝かせるのが基本ですが、屋外墓地では管理規則を優先してください。火気禁止の場合は線香を焚かず、合掌だけでも構いません。
墓石に水をかけてもよいですか?
清掃時の水洗いは一般的です。参拝時については、天台宗の公式案内では水鉢へ供える方法が示される一方、浄土宗・日蓮宗の公式案内には墓石へ清らかな水をかける作法も掲載されています。宗派や菩提寺の作法、墓石の状態に合わせて判断してください。酒・ジュースなどは染みや変色の原因になるため、墓石へ直接かけないようにしましょう。
まとめ:形よりも、丁寧に手を合わせる気持ちを大切に
日本の主要7宗派を比べると、唱える言葉や線香の扱いには違いがある一方、「墓所を清める」「お供えをする」「合掌して感謝を伝える」という基本は共通しています。作法に迷うときは、菩提寺・墓地管理者・家族の慣習を確認すれば安心です。
遠方に住んでいる、足腰に不安がある、墓石の汚れを自分で落とせないなど、お墓参りや清掃でお困りのときは「和ごころ」へご相談ください。墓石の状態を確認し、周囲のお墓にも配慮しながら、すべて手作業で丁寧に清掃します。
参考にした各宗派の公式情報
- 天台宗「お墓参りの作法は?」・「お墓参りに特別な決まりはある?」
- 高野山真言宗 総本山金剛峯寺「参拝作法の手引き」・「檀信徒のお勤めと作法」
- 浄土宗「お墓参りのお作法は何ですか?」
- 浄土真宗本願寺派「納骨とお墓参り」・「お香の供え方」
- 曹洞宗「年中行事・お墓参り」・「お仏壇のまつり方」
- 臨済宗妙心寺派「妙心寺派の教え」・「仏事・法要について」
- 日蓮宗「お墓・お墓参りについて」
※公式情報の確認日:2026年8月31日。本記事は一般の方向けに要点を整理したもので、個別の作法は菩提寺・墓地管理者の案内を優先してください。
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